他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論

経営学者として活躍されている宇田川元一氏の著書『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』。

本書は、HRアワード2020書籍部門で最優秀賞を受賞し、8万5千部突破のロングセラーとなっている大人気の一冊です。

わかりあえなさが組織を動かす

本書のテーマは「他者との協働」ですが、その基盤にあるのは「わかりあえなさ」を認識することです。

著者は、他者と完全に理解しあうことは不可能だと述べます。
しかし、この「わかりあえなさ」を前提にすることで、組織やチームにおける新たな可能性が広がると主張します。

お互いが完全に同じ価値観や思考を持つ必要はなく、多様性が生み出すアイデアやエネルギーが組織を前進させる原動力となるのです。

対話と関係性の構築

わかりあえないことを前提にするからこそ、対話が重要になります。

ここでの対話とは、ただ意見を交換するのではなく、相手の背景や価値観を知るプロセスです。

著者は、共感や同意を求めるのではなく「異なる考えを認めること」が重要だと説きます。

組織の中で対話を深めるには、傾聴やオープンな姿勢を持つことが欠かせません。
また、信頼関係を築くことで、わかりあえなさを乗り越える力が生まれるといいます。

わかりあえなさを活かすリーダーシップ

リーダーには、組織内の多様性を尊重しながら、共通の目標に向けてチームを導く役割が求められます。

著者は「わかりあえなさ」を管理するのではなく、それを活かして組織全体を成長させるリーダーシップのあり方を提案します。

これには、柔軟性や忍耐力が必要です。
また、リーダー自身が「完璧な答え」を求めるのではなく、組織メンバーとともに模索する姿勢が重要です。

わかりあえないからこその価値

本書を通じて著者は、「わかりあえなさ」こそが他者と働く際の出発点であり、それが組織をより強く、柔軟にするカギであると結論づけます。

個々の違いを理解し尊重し合うことで、組織内で生まれる対立や摩擦はむしろ創造の源となります。わかりあえないからこそ、お互いを知り、協力する意味が深まるのです。

『他者と働く』は、現代の多様性を前提とした組織論に新しい視点を提供する一冊です。

わかりあえないことを受け入れ、それを乗り越えるための具体的な方法や哲学が語られています。

特に、リーダーやマネージャー、チームで働く人々にとって、多様性の価値を再確認し、より良い協働のあり方を見つけるヒントとなるでしょう。

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