自刻像

2025年6月8日(日)、東京で開催された『第9回ワクセル会議』に、伊勢谷友介氏がゲスト講演者として登壇しました。

本ブログの運営者嶋村吉洋氏が主催するワクセルで、定期的に開催されているワクセル会議は、多様な分野で活躍する人物を招き、未来を共創する場として注目されています。


本記事では、伊勢谷氏が2024年に文藝春秋から刊行した著書『自刻像』を紹介し、人生を見つめ直す彼の言葉と活動の一端をお伝えします。

『自刻像』という語り下ろしエッセイ

『自刻像』(文藝春秋、2024年1月刊)は、伊勢谷友介氏の語り下ろしによるエッセイ集です。
映画復帰作『ペナルティループ』が公開される直前に世に送り出されました。

本書の大きなテーマは「過去の自分に会う旅」。

幼少期を過ごした函館での記憶、東京藝術大学での学び、沖縄やインドへの旅、異母兄である山本寛斎氏との交流など、人生の断片をたどりながら、自分自身の内面に深く向き合う内容になっています。

さらに、2020年9月の大麻取締法違反による逮捕体験についても赤裸々に語られており、その時の状況や心情を率直に綴っています。

伊勢谷氏自身は本書の刊行にあたり、「次の生き方を模索するために、過去の自分と向き合う旅をした」とコメントしており、その言葉どおり、自分自身を深く見つめ直す試みとなっています。

写真と文章で刻まれる「自分史」

『自刻像』には文章だけでなく、伊勢谷氏が幼少期から描いた絵や、旅先でのスナップ写真、受験期の作品なども収録されています。

芸術家としての視点から自分を見つめる試みは、俳優や映画監督としての活動と地続きにあるものでしょう。

本書の魅力は、映画や演技論といった表舞台のキャリアにとどまらず、家庭環境や人間関係、そして過ちを含む人生のすべてを「素材」として誠実に表現している点にあります。

過去を振り返ることでしか未来の可能性を描けない、という著者の姿勢が端々に表れています。

ワクセル会議と実業家としての顔

伊勢谷氏は、俳優や映画監督の枠にとどまらず、社会貢献活動にも積極的に関わってきました。

株式会社リバースプロジェクトの設立や、アクションブランド『Happy Sauce』の主宰はその代表例です。
これらの活動は、「人類が地球に生き残るために」というテーマを掲げた実業家としての取り組みであり、環境や社会問題に取り組む姿勢が明確に打ち出されています。

2025年6月に行われた第9回ワクセル会議での登壇も、その流れの中で位置づけられます。

ワクセル会議というプラットフォームで、自らの過去と現在、そして未来への思いを語ったことは、『自刻像』で描かれたテーマと響き合うものだといえるでしょう。

「自分を刻む」ことの意味

『自刻像』は、伊勢谷友介氏の歩みを単に振り返るだけでなく、「過去に正面から向き合い、自分のための新しい時間をどう使うか」という普遍的な問いを投げかける一冊です。
ワクセルやワクセル会議といった場での発信とあわせて、本書を読むことで、芸術家・俳優・実業家としての多面的な姿を知ることができます。

過去に刻まれた記憶と行動をどう未来へつなげるか。

『自刻像』は、その問いに答えるためのヒントを与えてくれる作品です。

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