
仕事に家事に、毎日一生懸命がんばっているのに、なぜか「自分の時間がない……」とモヤモヤすることってありませんか?
今日はそんな方にぜひ読んでほしい、佐宗邦威氏の『じぶん時間を生きる TRANSITION』について紹介します。
著者の佐宗氏は、かつては「生産性の鬼」と呼ばれるほどバリバリ働いていた戦略デザイナーです。しかし、効率を上げれば上げるほど逆に仕事が増えていくという「生産性の罠」に気づき、家族で軽井沢へ移住するという大きな決断をされました。
この本には、そんな著者の実体験を通して見つけた「自分を取り戻すためのヒント」がぎゅっと詰まっています。
多くの現代人が、「早く仕事を終わらせれば自由になれる」と信じてタイパや効率を追求しています。
しかし本書では、効率を上げて空いた時間にはまた新しいタスクが放り込まれるだけで、永遠に時間に追われ続ける「生産性の罠」について指摘されています。
著者はこの状態を、資本主義経済における終わりのない競争、つまり「ラットレース」と称しています。
かつて「生産性の鬼」として働いていた著者自身も、このゲームに疲弊した結果、軽井沢への移住を機に時間との向き合い方を根本から見つめ直すこととなりました。
本書の核となるのは、時間を「他人時間」と「じぶん時間」の2つに分ける考え方です。
現代人の多くは人生の大部分を「他人時間」に占拠されていますが、幸福度を高める鍵は、こうした他人軸の時間を手放し、自分の人生を選択しているという「自己決定感」を取り戻すことにあると説かれています。
人生の転機において、単に環境を変える(チェンジ)だけでなく、内面的な変化を遂げるための「トランジション」の過程が重要視されています。
本書では、以下の3段階でそのプロセスが解説されています。
これまでの社会では、時間は「未来の目的のための手段」として消費されがちでした。
しかし本書が提案するのは、未来のための我慢をやめ、今この瞬間を楽しむ「コンサーマトリー(自己充足的)」な姿勢です。
具体的な実践方法として、5分間のジャーナリングで感情を書き出すことや、デジタルから離れて散歩をすることなど、日常の中で「じぶん時間」を積み重ねる小さなコツも紹介されています。
時間は「管理」するものではなく、人生そのものとして「味わう」ものであるというのが、本書のメッセージです。