当サイトの運営者であるワクセル主催の嶋村吉洋さんが映画化された『ドライブ・マイ・カー』をオススメされており、滅多に映画館に行かないわたしでしたが引き寄せられるように劇場で鑑賞。
その時に感じた場面や登場人物の繊細な情景描写にとても感動して、原作ではどのように描写されているかが気になり本書を手にしました。
「細かな描写がなくとも伝わる映画の世界が、言葉で表現する文庫本だとどうなるんだろう?」
そのワクワクと共に1ページずつ読み進めました。
短編小説が連なっている本書。
最初に『ドライブ・マイ・カー』を読み終えたときは正直物足りなさすら感じました。
約3時間ほどの超大作はこの短編小説をどれほど広げて作ったんだろうかとも思いながら、他の短編集を読み進めるとうまく他の内容も盛り込まれており、冒頭に村上春樹さんが仰っていた『作品のグループにそれなりの一貫性や繫がりを与えられることだ。』という理由もわかるし、その繋がりが映画の奥深さになった気がしました。
ですが、映画を観ずにこの短編集を読んでいたらどうなったかを考えてみると、それぞれで想っていた女性を失った男性たちの複雑な心情や行動を垣間見れたようにも思います。
ただ何か本書だけだと物足りなさも感じるのは、わたしがまだまだ読み解けていないのか、短編集ごとの一貫性や繫がりを感じ取れていないのかもしれないとも思いました。
とはいえ、映画から観たわたしにとっては少なからず作品のグループを最初から感じた上で本書を読めて良かったと思ったのと同時に、あと何回か観て映画と本書で伝えたかったことをより深く受け止めたいともっと深層を掴みたくなる何とも不思議な気持ちになりました。
そして大切な誰かがいるのなら、自分の想いや気になることは見栄やしがらみを捨てて伝えたり訊いたりすることが大事だとも思わせてくれる作品です。
そんな本書は下記のような方にオススメです。
・映画『ドライブ・マイ・カー』を観る/観た方
・男性と女性の心情を覗きたい方
・大切な方がいらっしゃる方
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