ビジネス戦略コンサルタントの鈴木博毅氏が執筆した本書は、戦後も読み継がれてきた名著『失敗の本質』を、現代経営に活かせるよう23の視点で整理したダイジェスト版です。
日本軍の組織的な敗因を、戦略・思考・現場活用など多角的に分析し、現代日本にも共通する組織の課題を浮かび上がらせています。
戦略や組織論を学びたいビジネスパーソンにとって非常に示唆に富む内容です。
本書では、日本軍が戦略的思考を欠き、長期的な目的に結びつかない勝利を積み上げてしまったことが初めの敗因として挙げられています。
例えばミッドウェー海戦以降、短期成果ではなく根本的な戦略転換が必要だった地点での判断ミスが、組織を破綻へ導いたと解説されています。
鈴木氏は、日本的組織に共通する弱みとして、以下の7つの視点を提示しています。
過去の成功に固執し、慣習的手法ばかりを追求する組織文化が、変化の波に乗れず停滞してしまうリスクを具体的に示しています。
最後に本書は、企業が盲点になる「空気の支配」「不都合な情報の遮断」を超えるための組織改革の視点を提供します。
現場サイドで正しい情報が上層部に届かず、判断の質が落ちる現象を防ぐには、透明なコミュニケーションと構造的な多様意見の受容が必要であると説いています。
これは日本の企業や行政に多く見られる「変革を阻む罠」を解消するヒントにもなります。
『「超」入門 失敗の本質』は、戦後の日本軍の失敗から学ぶ組織論を、誰でも読みやすく、かつビジネスに即応用できる形で再構築した一冊です。
「戦略が見えない」「イノベーションが起きない」「リーダーシップが弱い」などといった現代の組織問題—これらは歴史の学びから「同じ失敗」を繰り返さないためのヒントとなります。
本書は288ページ強のコンパクトな構成ながら、16万部を突破したベストセラー『失敗の本質』のエッセンスを現代的視点で再構築しており、戦略や組織運営に悩むすべてのビジネスパーソンにとって必携の一冊と言えるでしょう。